Cassiber / A Face We All Know

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A Face We All Know
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Cassiber
Rer (2008-08-19)
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今月初頭からの回顧モードにより、レコメン系の音楽への興味が再燃しつつある。手始めにCassiberの4枚目を会社の上司からお借りした。Henry Cow末期からのクリス・カトラー、フレッド・フリスらの活動はさまざまなバンドが同時平行で動いていて複雑極まりないのだが、こちらはArt Bearsを解散させたあと、1982年にクリス・カトラーが、ハイナー・ゲッベルス、アルフレート・ハルト、クリストフ・アンダーズと結成したバンドである。4枚目は1990年、この前のアルバムからハルトは脱退しており、3人編成でのスタジオ盤。クリス・カトラーの書いた詩と、トマス・ピンチョンの『重力の虹』のテキストによって構成された、ポストモダン・ニューウェーヴ(って呼んでおけば、なんとなく格好がつくんでしょう……?)でございます。

カトラー先生の詩について審美するほどの知識はございませんが、速度と硬度がエラいことになっているドラムはフェティッシュな感じで好きです。ここでサウンドの中心となっているのは彼のドラムと、ゲッベルスによるサンプリングであり、これは解体と再構築の音楽であるなあ、と思ったり(大友良英のGround Zeroが1990年結成ですが、音的には通ずるものがある)。このサウンドで、テキストがピンチョン、ってもう狙いすぎている感さえあるんですが、1990年ってそういう時代だったんでしょうか。

ただ、1989年にベルリンの壁崩壊、1991年にソ連崩壊、ですからバキバキの左翼であったカトラー先生的には思想的に大きく揺らいだに違いなく、そんなときにピンチョン、っていう、アメリカのサブカルチャーの権化みたいな作家を取り上げている、っていうのはなかなか味わい深い。デリダとかドゥルーズとか、そういうもっと面倒くさい方向にいくほうがありそうなのに。1990年は『ヴァインランド』が発表された年でもありますが、ピンチョンがよりポップな感じに流れていくのはその後で、この当時はもっとアナーキーな作家だと思われていたのかなあ……。

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