Cassiber
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カトラー先生の詩について審美するほどの知識はございませんが、速度と硬度がエラいことになっているドラムはフェティッシュな感じで好きです。ここでサウンドの中心となっているのは彼のドラムと、ゲッベルスによるサンプリングであり、これは解体と再構築の音楽であるなあ、と思ったり(大友良英のGround Zeroが1990年結成ですが、音的には通ずるものがある)。このサウンドで、テキストがピンチョン、ってもう狙いすぎている感さえあるんですが、1990年ってそういう時代だったんでしょうか。
ただ、1989年にベルリンの壁崩壊、1991年にソ連崩壊、ですからバキバキの左翼であったカトラー先生的には思想的に大きく揺らいだに違いなく、そんなときにピンチョン、っていう、アメリカのサブカルチャーの権化みたいな作家を取り上げている、っていうのはなかなか味わい深い。デリダとかドゥルーズとか、そういうもっと面倒くさい方向にいくほうがありそうなのに。1990年は『ヴァインランド』が発表された年でもありますが、ピンチョンがよりポップな感じに流れていくのはその後で、この当時はもっとアナーキーな作家だと思われていたのかなあ……。
Thomas Pynchon
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