Donny Hathaway / Original Album Series

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DONNY HATHAWAY - ORIGINAL ALBUM SERIES
DONNY HATHAWAY(ダニー・ハサウェイ)
Warner Music (2010-02-27)
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今年の夏に下北沢のソウル・バーにいってなにかに開眼した瞬間に思ったのは「そうか、白人がソウルをやろうとしたらAORになったのか! そういうことだったのか!」ということだったんだけれども、さっき『東京大学のアルバート・アイラー』を読み返していたら、こんな記述に出くわしたのだった。
1960年代末に、バークリー・メソッドはジャズの理論としてのアップ・グレードをやめ、自らの可能性の中心に従って線引きを行い、自らの領域を確定させます。こうして、ジャズの現在からは手を引いたバークリー・メソッドは、その後、JBらが作り出したファンクやニュー・ソウル・ミュージックなどの新しい黒人音楽を、和声的にソフィスティケーションするための理論として、「スタジオ・ミュージシャンの時代」を支える理論として、もっぱら使われるようになっていきます。(単行本 P.194)
この記述のあとに、バークリー・メソッドによって作られたポップスの代表としてあげられているのがドナルド・フェイゲンだったので、ソウル・バーでの閃きはあながち間違いではなかったのだな……。

1970年代のいわゆるニュー・ソウルと呼ばれる人たちは、音楽的には商品としてめちゃくちゃに洗練されていながらも、むちゃくちゃに怒っている、というところが興味深く思われ、たとえばカーティス・メイフィールドのソロ一作目(1970年)では「Sisters! Niggers! Whities! Jews! Crackers! Don't worry, If there's a Hell below, we're all gonna go!」というシャウトからはじまり、これもまた音楽から感じられる20世紀の歴史のひとつであって、聴いていると20世紀のアメリカの歴史を、とくに人種問題の変遷から勉強したくなってくる。こうしたエモーショナルなメッセージを骨抜きにして、代わりにオリエンタルなものであったり、SF的なものを詰め込んだのがスティーリー・ダンだったのではなかろうか(妄言)。

ダニー・ハサウェイもまた怒りまくってるミュージシャンのひとりだったはずだが、なんかこの人は音楽的な深化の仕方がカーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイなどとも違っていて、驚かされるばかりなのだった(1970年にデヴューして、1979年に33歳で自殺してしまう、というバイオグラフィーが切ない)。1973年、生前に出した最後のオリジナル・アルバムが『Extension of a Man』ですよ、訳したら「人間の拡張」で、なんかタイトルからしてギャラクティックな雰囲気が漂うんだけれども、一曲目からラヴェル & ガーシュイン風のフル・オーケストラ伴奏によるゴスペルから始まるんですから「これは拡張されている……!」と納得です。邦題は『愛と自由を求めて』なんだけれども、こっちのほうが説得力に欠ける気さえする。コーラスから、エレピのソロに入り、2曲目の「Someday We'll All Be Free(いつか自由に)」へと繋がる流れは、ちょっとスゴすぎるだろう……こんなスゴい音楽が世界に存在するとは、みたいに腰が抜ける。

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