山本 昭彦
講談社
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本書でもシャンパンは簡単とある。でも、全然ウソね。すげえ色々あるじゃんか。まず、ぶどうの種類、畑、そしてシャンパンにもヴィンテージがある(それは知ってたけど)。ひょっとすると普通のワインよりも、奥が深い世界なんじゃないの、と思った。あと、高い。ニューワールドの1000〜2000円のワインから美味しいものを探す遊びとは、全然敷居の高さが違う。高くなったよね、シャンパンも。世界的な需要が高まってるのとユーロ高で気が付いたら(おそらく誰でも知ってる)モエのブリュット・アンペリアルでさえ今、近所のカクヤスでも4000円ぐらいするし。わたしが学生時代(円高時代)なんか今のハーフの値段でフルボトルが買えた気がするのに。ちなみに、モエのブリュット・アンペリアルを本書は名前をあげずにかなりdisっています。
ただ、そういう複雑さも含めて面白い世界だな、とは思う。読んでも高いから飲めないのが苦しくなるが、超キザキザで高飛車な感じのする文体と内容で紹介されるシャンパンの世界、そして飲むときの作法なんか、ムカつくけど、カッコ良いじゃんか、と思う。たとえばこんな感じ。
「セレブ気分」という見出しにひかれて、大手新聞のワイン特集を読んだら苦笑させられた。どうよ、これ! 著者自身、読売新聞の所属なのに同業者を鼻で笑う感じでこき下ろしている(この著者、これまでにBMW5シリーズが『軽く』1台は買えるぐらいシャンパンに金をつぎ込んだそうです。新聞屋さんってお金持ちなんだなあ)。
紹介されていたのはスペイン産スパークリング・ワインのカバ。泡立つワイン=セレブというのはさすがに乱暴すぎる。「セレブ」は日本ではかなり安い存在だが、さすがにカバを飲んでセレブは名乗れない。セレブがカバを飲んでさまになるのは、産地であるスペインのバルセロナ近郊にある、世界で最も予約のとれない3つ星レストラン「エル・ブジ」(閉店)くらいのものだ。
他にもカッコ良く(=コルクを抜くときに音を立てずに)シャンパンを開けるやり方なんかも「そんなテクニックを身につけてなんの意味があるのか。なんの意味もない」と書いている。つまり、なんの意味もないけど、それがカッコ良いってことなんだよ、と言うのだね。ムカつく、でも、そのムカつくところが良いし、最高じゃん、と思った。変に気軽なものとしてではなく、魔界的な奥深さを持ち、そして、シャンパン=カッコ良いし美味い、ということを圧倒的に伝える本だと思う。著者の情熱と知的欲求は本物で刺激を受けた。
日本の「夜のお店の世界」におけるシャンパンの話なんかも面白かったですね。ドンペリってクラブで頼むとそんなにお金かかるのか〜、とかね。
章ごとに著名人のシャンパンにまつわる名言集が載っているのだが、なかでもケインズの言葉がグッときた。「もっとシャンパンを飲んでおけばよかった」……ってねえ(なお、この言葉、死の床につく前の最後の言葉として伝えられているようですが、Quote Investigater(有名な言葉の元ネタを探すサイト)の調査によれば、違うらしい)。
以下、本書で言及されているシャンパンで、価格的に手が出せなくもないものの一覧。
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