諸星大二郎 『海神記』

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諸星大二郎の『海神記』を読んだ。いやあ、これ上下巻で出ているもんだから、てっきりこの2冊で完結かと思うじゃないですか。まさかの未完でびっくりしちゃったよ。『諸怪志異』も途中でストップしちゃってますが、果たして、諸星大二郎はこういう途中で止まってる作品をちゃんと完結させてくれるんだろうか……。『西遊妖猿伝』がいまのメイン仕事なのだろうけれど……と、微妙な気持ちになったのは『海神記』がめちゃくちゃ面白かったからである。すごい。80年代初頭と90年代初頭に書き継がれたものだが『暗黒神話』や『孔子暗黒伝』、あるいは『マッドメン』といった代表作よりも面白いんじゃないのか。

物語は古代の日本。天変地異や干ばつにあえぐ人々が、海から現れた謎の子供に導かれ、東にあるという常世を目指す……というストーリーで、設定はいつもの諸星大二郎という感じなのだが、権力者たちが政治的な策略もいろいろと出てくるし、呪術によって勝敗が左右される戦闘シーンのダイナミックな描写など、異例のスケールの大きさだと思う。個人的にもっとも惹かれるのは、この作品で描かれている世界が「日本は単一民族の国」という観念を、完全に打ち砕いているところだ。さまざまな小国が林立し、国が違えば、信仰している神も違い、風習も異なる。多様な民族が謎の子供によってまとまって、怒涛の勢いを作っていくところがなんともロマンティックだ。大変だとは思うが、最後まで描かれてほしい物語だと思った。

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