ブラームスを「聴く/読む/見る」楽しみ

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Brahms: Symphony No 3 & 4

Brahms: Symphony No 3 & 4







 ブラームスを聴いていて特に楽しい気持ちになれるのは、楽譜を見なくてもそこに書いてあるはずの音楽の構造がハッキリと分かる瞬間があることだ。建築になぞらえるならば、外側から見ても設計図がどうなっているかなんとなく予想できる、というか(建物を見ていてそんな気分になったことはないけれども)。ヒンデミットもバッハも聴いていて構造を意識させられるのだが、彼らの場合、途中で想像力がついていけなくなる。そして楽譜を実際に見てみるとさらに驚くようなことが書いてある。ブラームスの場合、そういう驚きはない。簡明である。しかし、そのシンプルな作り方のなかでひねりを加えてみたり、自分らしい意匠を組み込んでみたり、そういう職人芸みたいなものが聞こえてくる。聴き手を振り落とさないスピードで、簡明な言葉で、噛み砕きながらブラームスは語る。


 特に作品番号80番(《大学祝典序曲》)あたりから、そういう面白さが顕著である。そのなかでも特に交響曲第3番と《悲劇的序曲》。どちらもすごくスタイリッシュな曲で、特にミヒャエル・ギーレンの演奏で前者を聴くとヴァルター・グロピウスの建物みたいに聴こえてくる(この演奏にはバウハウスの校舎に「BAUHAUS」って書いてあるぐらい分かりやすいブラームスらしさがある)。また、後者はそういう「音楽の構造に触れてみたい」という人のためにぴったりな曲だと思う。冒頭で示されるたった二つの短調の和音が展開されていくところに耳を傾けて欲しい。すると最初のテーマが丁寧に丁寧に引き伸ばされていく、そういう物語が見えてくる。たぶん、こういう気持ちになるのはベートーヴェンでは難しい。彼の音楽はいつだって雄弁でありすぎるからだ。







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