ソフトウェア開発とプロジェクトマネジメントに関する古典的著作を読む(なんども書くけどこのブログを書いている人の本業は、システムエンジニアである)。著者はIBMのOS/360の開発マネージャーだった人……と言っても、いまこの紹介文で「へえ」って思う人のほうが少なそう(私はIBMメインフレームで開発とかやっている人なので『へえ』ってなるけども)。最初に原著がでたのが1975年なので、内容はかなり古く、はっきり言っていま読んでも仕方がない記述もたくさんある。たとえば、昔はプログラムのデバッグをするのにもコンピューターの資源がカツカツだったので、いろんな人と資源を分け合ってテストしなきゃいけなかったから、1回のデバッグ処理と次のデバッグ処理のあいだに2、3日のインターヴァルがあった……とか。そんなのいまどき、ハッ? って感じですよね。プロジェクト内で共有すべき情報を手引書としてまとめろ、マイクロフィッシュは場所とらなくて良いぞ! とか、隔世の感しか感じない。
ただし、全部が全部ゴミみたいな内容になっているか、というとそんなことはなく、仕事をどう分割するか、チーム内役割をどう構成するかについての知見はそこそこ現役だと思う。そのなかには「そんなの当たり前じゃん!」って事柄も含まれているけれど、その当たり前はこうした先人の試行錯誤によって積み上げられてきたものの上澄みを、いまの人たちがすくってるだけ、とも言える。とはいえ、使えそうな部分だけ拾い集めて3360円の価値があるか……と問われると、うーん……。「コレを読まないと仕事ができない!」みたいな本ではないです。著者はかなり教養高い人っぽく、引用や表現の端々にインテリ感溢れてるのがちょっと面白いけども。
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