ベートーヴェン:トリプル・コンチェルト & ブラームス:ダブル・コンチェルト posted with amazlet on 07.04.29 オイストラフ(ダヴィッド),ロストロポーヴィッチ(ムスティスラフ) リヒテル(スヴャトスラフ) リヒテル(スヴィヤトスラフ) オイストラフ(ダヴィッド) ロストロポーヴィッチ(ムスティスラフ) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン) ベートーヴェン クリーヴランド管弦楽団 セル(ジョージ) ブラームス 東芝EMI (2004/12/08) 売り上げランキング: 433 Amazon.co.jp で詳細を見る 1927年に旧ソ連(現・アゼルバイジャン)で生まれた音楽家、ムスティラフ・ロストロポーヴィチが亡くなりました。20世紀前半を代表するチェロ奏者をパブロ・カザルスとするならば、ロストロポーヴィチの活躍(彼のために書かれたチェロ作品の数は、おそらく今後も破られることのない記録として残るでしょう)を考えれば、間違いなく彼を「20世紀後半を代表する最高のチェロ奏者」ということができるでしょう。その彼の死は“20世紀の音楽史”が閉じていっていることを強く実感させます。演奏の素晴らしさ、だけでなく、ソ連という極めて特殊な(現代の日本から見れば、ですが)文化的・社会的状況のなかで生き、ソルジェニーツィンを擁護したことによりほぼ国外追放という危険な状況に晒された彼の人生そのものが「20世紀」を感じさせたのです。 上にあげた録音はヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルの伴奏で、ロストロポーヴィチがソ連最高の音楽家として活躍していたダヴィド・オイストラフ、そしてスヴャトスラフ・リヒテルと共にベートーヴェンの《三重協奏曲》を演奏したもの。カラヤン/ベルリン・フィルという西側的な“世界最高”と、ロストロポーヴィチらの東側的な“世界最高”が融和した歴史的事件のような名盤です。ここに名前を挙げた人たちは既に全員鬼籍に入っておりますが、今頃、天国での邂逅を果たしているのではないかな……などというと少し感傷的過ぎるかもしれません。 多すぎるほどに名盤を残してきた彼ですが、特に1960~70年代の全盛期に録音されたものはどれも素晴らしく、どれをとっても「この曲のベスト演奏」と言えるものでした。その充実ぶり...