「イェイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス主義の伝統』を読み終わったら、次は何を読んだら楽しいですか〜?」とTwitterで質問を投げたら、現在オランダに在住している研究者の アダム高橋さん が課題図書をあげてくださいました。 Wonders and the Order of Nature, 1150--1750 posted with amazlet at 12.01.31 Lorraine J. Daston Katharine Park Zone 売り上げランキング: 120212 Amazon.co.jp で詳細を見る 『驚異と自然の秩序』という本(本書については このブログ記事 でも紹介されています)。で、先日この本を注文したのだけれどもなかなか届かないので、そのあいだに研究者の 坂本邦暢さん からいただいた、同じ著者たちによる論文「反−自然の概念 十六、七世紀イギリス・フランスにおける畸型の研究」( 書誌情報 )を読みました。高橋さん、坂本さんありがとうございます。 BH の星座のなかで生きてる感じがしてきました。 思想史・科学史というジャンルはざっくり言って、過去の人びとが世界をどのように捉え、そしてどのように世界を記述したかをみていくものであり、喩えるならば「過去」という別世界の設定資料集を書き起すようなものである、と個人的に考えています。ただ、設定資料集のみを作るのであれば、動きのないファンタジーで終わってしまう。歴史として過去が紡がれていき、そのファンタジーの変化が語られたときに、初めて読んでいて面白いモノになるのです。世界の記述自体が物語と化す、というか。 論文は、十六世紀から十七世紀にかけてイギリスとフランスでどのように畸型が取り扱われ、研究されてきたか、についての研究で、その扱われ方の変遷から人びとの意識はどのように変化したのか、というお話。とてもスタティックな語り口なのに超ダイナミックな内容で思わず震える作品、と言えましょうか。前述の思想史の醍醐味が短いなかで満喫できます。 西欧における畸型への関心は初期近代以前からあり、それこそアリストテレスだって畸型について書いているし、キケロだって書いているそうです。つまり畸型は昔から知識人の関心の対象にあがっていた、と著者...