Helmut Lachenmann: Grido; Reigen seliger Geister; Gran Torso posted with amazlet at 10.03.28 Kairos (2008-01-14) 売り上げランキング: 162855 Amazon.co.jp で詳細を見る 昨日 *1 の続き。サクサク進めてしまったが、《Reigen seliger Geister》は、後半の段落がよくわからずかなり適当に訳した。なんか批判理論っぽい話。 《Reigen seliger Geister》 《Reigen seliger Geister(祝福された魂の輪舞)》は、空気で音を鳴らす、あるいは音を空気で鳴らす、といった知覚のゲームです。私は冒険的な最初の弦楽四重奏曲《Gran Torso》は楽器の演奏という領空を侵犯するような作品――この領空侵犯は長い年月をかけて、最近でも他の作曲家によって行われ続けています――を書いた後、ファサード *2 としての、あるいは名目としての「書かれたもの」という音程の布置連関に注目しました。音程といったものは、自然な音階や、アーティキュレーション、音の減衰とう風に理解されています。しかし、音楽の急激に全休止すること、または弦の振動を止めてしまうこと(例えば、弓がponticello *3 とtasto *4 の間で変化させることによって音の内容には変化が生まれます)といった試みにより、私は「死んでしまった」調性構造を打破し、生にたいする客観性をもたらすような経験を導きたかったのです。 このような行動の領域は、劇的であったり、変化をもたらすようなものであったり、逆に忘れられてしまったような様々な演奏技術によって決定されます。ピアニッシモとフォルティッシモの間には様々な中間的な価値ともよべるものが抑圧されているのです。外見的には、音階のない音のなかで、弓弾きが突然なくなったり、突然現れたりします――それまでピッツィカートを連続して弾いていても、状態は長続きせずコロコロと変わっていきます。もしかしたら、あなたは裸の王様に弁明するような気分になるかもしれません。 ※ 《Reigen seliger Geister》はアルディッティ弦楽四重奏団への献呈作品。Festival d'Automne...