教室内(スクール)カースト (光文社新書) posted with amazlet at 13.06.28 鈴木 翔 光文社 (2012-12-14) 売り上げランキング: 2,837 Amazon.co.jpで詳細を見る 読んでいて学生時代の社会学のゼミで論文を書いたのが懐かしく思い出される新書。著者の修士論文を大幅に加筆修正してできあがった著作だそうだが、この本の「先行研究の検討 → 調査・分析 → 結論」の流れと方法論は、学生時代の先生に「こんな風に書きなさい」と言われたことそのままだったかも。研究所や論文だけではなく、サブカルチャーからも「スクールカースト(簡単にいえば、教室内で生徒児童のあいだにつけられた序列関係)」とはなにかをひとまず定めた先行研究の検討にはじまって、調査・分析で、先生や生徒からのインタヴューからさらにスクールカーストの実態が明らかにしていく流れが凄まじく良い。結論部でも、スクールカースト内の各グループが優劣なしの横並びであるという宮台真司の分析に反して、優劣ありの縦並びの関係になっていたことを明示していて、おさまりもキマっている。 もし、同じゼミでこんな論文書いてる人がいたら、嫉妬していただろうと思う。インタヴュアーとしても分析者としても、スクールカーストを「知らない人」の立ち位置で研究対象を見ているところが上手いと思ったし、しばらくこの本は(計量系とかマスコミ系じゃない)社会学部のゼミでの卒業論文を書く際のお手本になってしまうのでは。ヒットしているのも納得の良書です。 分析対象のインタヴュー・データもまた面白いんですよ。正直、わたし自身はかつての教育期間において「スクールカースト」を意識したことがなかったし(第一そんな言葉当時はなかったわけで)、いま当時の生活を思い返しても、あまりピンとこないものがある。地方の進学校で男子校というちょっと特殊な環境で、かつ、自分自身が「人と仲良くなれなくても、そんなに苦じゃない」性格であるんだろうけれど。 しかし、それでも、本書に載せられている、元高校生の口から語られた教室内の模様は「なるほど、そういうことはあるだろうな」と納得感を感じさせながら読めるものだったし、なかには「すっげえ、わかる」というものもあった(特に『ウチらのクラス最高!』と一部...