インタヴュアーであるはずの50歳……の男性があらゆる人に「ホントに結婚したいのか?」と逆に尋ねられ「どんな相手が良いのか」と問われると「ジョン・レノンとオノ・ヨーコみたいな、クリエイティヴィティを刺激してくれるような関係が良い」と答える。この点、ずっと岡村ちゃんって一貫しているのだが、なんというか、そのファム・ファタル幻想、というか、ミューズ願望、というかがあからさまなところに、すでに結婚6年目に突入したわたしは「うーむ、結局それって話の合うお母さんを求めているんでは」と批判的になってしまった。究極的に言うと、登場するすべての男性のインタヴュイーの結婚観は、その「話の合うお母さん」そしてもうちょっと突っ込めば「話が合ってセックスもできるお母さん」が根源的な理想像になっている、というか。
だから読んでいて面白かったのは皆、女性のインタヴュイーの話で。大島渚を看取った小山明子の話は、まるで小津安二郎の映画みたいにキレイな話だと思ったし、内田也哉子の結婚、そしてあの両親の夫婦生活の奇妙さについての語りはマジックリアリズム的であるとも思った。もちろん、女性のインタヴュイーの話が面白く感じたのは、わたしが男性だから、逆に、というのもあると思うけれども「話が合ってセックスもできるお母さん」という男性の理想の平明さ、と比べると女性の結婚観の多様性がただただ面白かった。川上未映子は育児エッセイも良かったけども、ここでのインタヴューも良かったですね。
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