スヴャトスラフ・リヒテルは不思議なピアニストだ。初めて彼のピアノを友達の家で聴いたとき、スタインウェイの頑丈なピアノですらもブッ壊してしまうんじゃないかと心配になるぐらい強烈なタッチとメトロノームの数字を間違えてしまったような速いテンポで曲を弾ききってしまう演奏に「荒野を時速150キロメートルで疾走するブルドーザーみたいだな」と率直な感想を持った。そういう暴力的とさえ言える面があるかと思えば、深呼吸するみたいに音と音の間をたっぷりとり、深く瞑想的な世界を作りあげるときもある。そのときのリヒテルの演奏には、ピンと張り詰めた緊張感があり、なんとなくスピーカーの前で正座したくなるような感覚におそわれる。 「荒々しさと静謐さがパラノイアックに共存している」とでも言うんだろうか。彼が弾くブラームスの《インテルメッツォ》も「間奏曲」というには速すぎるテンポで弾いているけれど、雑さが一切ない不思議な演奏。テンポは速いのに緊張感があるせいかとても長く感じられ、時間感覚をねじまげられてしまったみたいに思えてくる。かなり「個性的」な演奏。でも「ああ、こんな風に演奏しても良いのか……」と説得されてしまう。リヒテルの強烈な個性の前に、他のピアニストの印象なんて吹き飛んでしまいそうになる。 気がついたら好きなピアニストの一番にリヒテルあげるようになってしまっていた。個性的な人に惹かれてしまう。こういうのは健康的な趣味だと思うけど、自分でピアノを弾いている人の前で「リヒテル好きなんだよね」というと「あーあ、なるほどね」と妙に納得されるような、変な顔をされることがあるので注意。 スクリャービン&プロコフィエフ posted with amazlet on 06.09.13 リヒテル(スビャトスラフ) スクリャービン プロコフィエフ ユニバーサルクラシック (1994/05/25) 売り上げランキング: 5,192 Amazon.co.jp で詳細を見る リヒテルという人は、ピアニストとしてだけ語るには勿体無いぐらいおかしな逸話にまみれている。ピアノ演奏もさることながら、人間としても「分裂的」っていうか、ほとんど病気みたいな人なのだ(それが天才の証なのかもしれないけれど)。「ピアノを弾くとき以外はロブスターの模型をかたときも手放さない」だとか「飛行機が嫌いすぎて、ロシア全...
アイディアは素晴らしいが、このヘリコプターSQは金がかかりすぎる。数年前にボンで演奏しようとしたときも財政難を理由にキャンセルされた。
返信削除ご本人さまでしょうか……(こんにちは、どうでもいいですが、私も福島出身ですよ!)。彼の財源ってどこだったんでしょうか。これについてける金の出元が気になります。日本じゃまずありえない(少なくとも音楽には金をださなそう)。
返信削除お金の出所、非常にシンプルです。
返信削除作品を委嘱してくれるところ、演奏会を企画してくれるところ、です。
他の作曲家と同じかと思います。
「ヘリコプター弦楽四重奏曲」にお金が掛かりすぎるのは仕方がないですね。
彼のインスピレーションはお金と関係ないところから湧き出てくるので。。。
偽も多いようですが、どうも本人のようです。ここのリンクをなくして久しいですね。検索に引っかかったようです。ボンでかかっていたら是非見たかったですね。公演中に外にも出て行ってヘリもみたかったです。
返信削除今でこそシュトックハウゼン財団がありますが、現在ではワーグナーのような偏った王侯貴族がいないのでお金の出所がないのですね。
放送局でも100万が限度でしょう。100億円はめちゃくちゃです。全7曲だと普通のオペラハウスの年間のプレミエの数ですね。sっ良く円で住むのではないでしょうか?何しろシュトックハウゼンは経済の運営では本当の素人なので100億になるのですね。彼のCDとか楽譜も制作費をそのまま値段に添加するのでめちゃくちゃですね。彼の財源は作曲だけで食っていけるのでこつこつ貯めたのでしょう。