UbuWeb Sound - Bernd Alois Zimmermann
UbuWebよりベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970)による《ユビュ王の食卓のための音楽》という作品を。ツィンマーマンといえば、先日日本でも「20世紀最高の現代オペラ」と謳われる《兵士たち》が初演されたばかり。こちらで聴ける作品は「前衛の停滞」云々が問題視されたときに発表されたものらしく、ほとんど過去の音楽作品引用だけで構築された曲である。細かいパッチワークのように切り張りされて作られたこの音楽は、ベリオの《シンフォニア》(1968年)、ジョン・ゾーンのネイキッド・シティ、あるいは、アルフレッド・シュニトケの先駆け……のように聴こえる。
けれども比較対象としてあげたものよりもツィンマーマンのほうが印象が柔らかだ。引用される作品も、ジャズや映画音楽風のものから、スザート(たぶん。16世紀の作曲家)、バッハ、ベートーヴェン、ロッシーニ、ワーグナー、ムソルグスキー……などとても広汎で雑多。これが先行したシュトックハウゼンやブーレーズたちへの抗議をこめて書かれたものとはにわかに信じがたい。
ツィンマーマンの代表作のひとつと言われる《若い詩人のためのレクイエム》。冒頭から「不気味な合唱+ベートーヴェンの《合唱付》」やら「不気味な合唱+ファシストっぽい演説」とか、かなりどうかしている音響(作品についての詳しい解説はこちらが充実している)。素晴らしい……。Youtubeには他に《兵士たち》からの抜粋もある。これまでノーチェックだったけど俄然興味がでてきた。
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まずここからか……。
「ユビュ王の食卓のための音楽」の最終楽章は、シュトックハウゼン「ピアノ曲第?」の同一和音連打の上に、ベルリオーズ「幻想交響曲」第4楽章「断頭台への行進」とヴァーグナー「ヴァルキューレの騎行」を引用していて、「頭のおかしな行進曲」とかいうタイトルだったと思います。
返信削除「ユビュ王」の最終楽章を使用した映画があるようです。
http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/147166
ブーレーズへの抗議というのは初耳です。
ツィンマーマンがシュトックハウゼンを快く思っていなかったのは、
作曲家の篠原真 氏の講演で聞いたところでは(20年前に聞いたので細部に間違いがあるかも)
シュトックハウゼンがケルンで活動していた頃、シュトックハウゼンの元に作曲を学びに世界中から学生が集まったのですが、シュトックハウゼンは大学等の研究施設に所属していなかったので、渡航の申請を出すため、同じケルンにいるツィンマーマンの元で学ぶという申請を出し、その後、シュトックハウゼンの所に移っていたらしく、いわば、ツィンマーマンはシュトックハウゼンの踏み台にされていたのが理由の様です。
伝聞だけでものを書くものではございませんね。てっきり「セリエリスム」に対する「非セリエル的な非難」かと思っていました。
返信削除「ユビュ王」ってどこかで聞いたことがあるとおもったらストローヴ=ユイレか!!(といっても観たことはないのですが……)この人たちは《モーゼとアロン》の映画化ややバッハを題材にした映画も手がけていますね(観てませんけど……)。
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