ジョナサン コット
河出書房新社
売り上げランキング: 78,487
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1979年に一部が『ローリング・ストーン』誌に掲載さらたソンタグへのインタヴューの完全版が本書。改めてこの批評家こそが、ポップなものと、ハイソなもの(サブカルチャーとメインカルチャー)を分け隔てなく語り始めた人だったんだな、ということがよくわかる内容となっている。メインとなるテーマがあるわけではないし、内容は雑多、というか、散漫とさえ言えるかもしれない。
それに、ソンタグの入門書にでもないし(批評家の入門とは? という感じでもあるし)そして、ポップもハイソも、サブカルチャーもメインカルチャーも境界線が特別存在しないように思われる現代において、ソンタグのような批評を読む意味ってなんだろう、と思わなくもない。
ポップもハイソも分け隔てなく、と言いつつも、それはめちゃめちゃにハイソな人がポップなものも扱ってる、なんというか、偉い人が民草の世界に降りてきてありがたいことを言ってる、っつー感じはあって。そういうのは現代においても有効ではあるのだけれども、でも、ドストエフスキーも読むけど、ドアーズも好きよ、みたいな態度って、すっげえ今や普通じゃん。ベンヤミンも読むけど、デヴィッド・ボウイも好きだし、BABYMETALも好きよ、みたいなさ。
まぁ、でも面白いよね。パティ・スミスやテレヴィジョンをCBGBでリアルタイムで聴いて、ひたすら本読んで、ひたすらなんか書いてる人。今やありふれてるけども、6o年代・70年代にそういう人がいたことを確認することは、単純に、面白い、と思った。ソンタグの語り自体、曖昧で「◯◯は実は△△だ!」みたいな意味を言い切ることって全然してなくて、つねに「◯◯は△△、と読めるけど、別な見方もできるよね」とひたすら言い切らないんだ。言い切らないし、なにを言ってるかよくわからない部分も多々ある。
すっげえわかりやすい読み解き、のほうがやっぱり人気あるじゃん、いま。だから、この言い淀み体質っていうか、あくまで、そういう読みでしかないっすよ、っていうモヤモヤスタイルが良い、って感じる部分もある。
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