ウラジーミル ナボコフ
新潮社
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ナボコフの「代表作」、『ロリータ』は学生時代に
旧訳で読んでいたし、
映画も観ていたのだが、新訳読んだら「こんな面白かったけ……」と思った。嵐のように濃ゆい比喩の連続にクラクラしてしまいながら、いろんな読み方ができる小説だよな、と阿呆のように考える。真正面から受け取ったら「少年時代に成し遂げられなかった少女とのエクスタシーを、生涯にわたって引きずり続けて、若い子でしか燃えられない(が、それを燃やし尽くすことができない)悶々変態男の変態独白小説」ということになるだろうし(その主題は、プルーストの主題とも重なっている)、クドクドした変態ポルノとして読むこともできる。
その一方で、とても悲しい「恋愛小説」としても読めてしまう。主人公、ハンバート
・ハンバートの一度目の結婚のダメダメな感じ(あきらかに下に見ている女性と結婚するのだが、その女性にまんまと裏切られている)や、ドロレスとポンコツの車でアメリカのあちこちを移動し、どんどん関係が悪くなっていく感じ。共感、と言ってしまうとおかしいけれど、とくに後者の「こっちは頑張ってるのに全然うまくいかねえな」みたいな部分が、わかる〜、と思う。
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