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卒論鋭意執筆中




ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番
スクロヴァチェフスキ(スタニスラフ) ザールブリュッケン放送交響楽団 ベートーヴェン
BMG JAPAN (2006/10/25)
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 もし巨乳であることから生じる肩こりがこれぐらい辛くて、それが毎日続くようなら崖から身投げしたほうがマシだ!というぐらいの肩こりと闘いながら卒業論文を書いております。1年間溜め込んだ性欲みたいなアドルノを出し尽くしてしまいたいんだけど、3時間ぐらいでもう左肩が「これ以上投げたら選手生命に関わる」的な状態に。


 今日の「自分応援音楽」は「ミスターS」ことスタニスラフ・スクロヴァチェフスキのベートーヴェン《運命》と《田園》。つい最近彼が全集を完成させ、現在バラ売りでHMVに並んでいるのを購入しました。試聴でガツンとやられるかなり活力ある演奏。現在83歳とは思えないほど力強い演奏。今まで彼の演奏に触れたことが無かったのですが、顔がいかにも巨匠然としていて「テンポ遅そうな顔だなぁ」と勝手に思っていたのだけれど、かなり快速。そして、爆音。「試聴からレジへ」という流れを生んだのも「《運命》3楽章で鳴らされるホルンの音が重厚すぎる」という衝撃でした。オーケストラはザールブリュッケン放送交響楽団。このオケはスクロヴァチェフスキと組んでブルックナーの全集を完成させておりますが「やっぱりブルックナーを立派にやれるオケ」はホルンが一味違うな、と思います。とても良い演奏。やる気がでますよ、これは。肩こりは治らないけど。


 ちなみにこの演奏で使用されている楽譜は、ベーレンライター新版。フレーズが旧版とかなり異なる箇所があり新鮮(特に《田園》の第4楽章の第一ヴァイオリンなどは結構びっくり)。今後はベートーヴェンもブルックナーのように版の違いについて語られることになるのでしょうか。





コメント

  1. それは大分前から行われている話だが。90年代に新版が出てデビッド・ジンマンの素晴らしい録音が出たわけで。構造の話については古楽器派が自筆譜を色々探し出してアーノンクールとか面白いデキになっているよ。
    テンポについては昔のロマン派の名残ある指揮者がわざとテンポを遅めて録音したからああなったわけで(ベートーヴェンのメトロノームが狂っていたんだから指揮者は直すべしと教育されたらしい)、譜面通りにやるとああなる。

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  2. 不勉強で申し訳ないです(っていうか、90年代にまだクラシックを聴いていませんでしたよ!笑)。遅いベートーヴェンも嫌いじゃないんですけどね。

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  3. これ行ってきます!12/7の6番と7番のプログラムです。
    ほんとうは12/3の5番聴きに行きたかったけどほかの予定と被っちって。
    http://www.operacity.jp/concert/2006/061203.php

    大河内奈々子は最初噛み噛みでしたね、スクロヴァチェフスキ。
    壇ふみはさすが、最初から言えてましたね。

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  4. うらやましい。でも今月はインバルを観るから良いのです!卒論なんて知らない!!

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