たとえば女性刑務官は「大変な仕事だけど、こんな工夫をして母親も両立しててすごいね!」っていう感じで登場するし、受刑者にしても更生するなかで母親として目覚めました的な感じ。育児ノイローゼなんか良き母親像のイメージから抑圧なんかも原因にあるだろうに、犯罪の原因が受刑者の母親性の欠如にあるとも読まれかれないと思った。育児ノイローゼの女性は夫がギャンブル中毒でお金がなく、育児もやらず、自分で夜の仕事をしながら育児をするしかなかった。覚せい剤の女性も内縁の夫からすすめられて薬にハマってしまった……とか、環境にも問題があるのに、オチが全部「刑務所に入って魂入れ替わりました(出所したら子供一番で生活します。薬も二度とやりません)」みたいな感じなんだもん。なんだ、女子刑務所っていうのは母性教育施設なのか……?
とイチャモンをつけたくなってしまったのだが、基本的には良い本。女性犯罪史にも触れられていて、本書で「戦後の日本での女性の死刑囚は14人」という事実を知った(Wikipediaにもページがある)し、女性の受刑者と男性の受刑者の数を比べると男女比が1:12になっちゃうとか結構驚きだった。アリス・ゴッフマンの著作を読んでいても感じたけれど、犯罪の世界も男性社会なんだなぁ、と思う。
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