曲目
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
- R・シュトラウス:《アルプス交響曲》
指揮はエリアフ・インバル、ピアノはエリソ・ヴィルサラーゼ。海外からの割と大物な指揮者が客演ということで、この日の客入りは8割ほどという感じ。「あー、生でベートーヴェンのピアノ協奏曲が聴きてぇなぁ」と2ヶ月ほどまえにチケットを予約していたのだけれど、チケットを買っていたのをほぼ忘れているぐらいだったので本当にチケットを予約できているか心配になりながら、会場へ。カラヤン広場は早くもクリスマスムード全開。
ソリストのエリソ・ヴィルサラーゼという人は、グルジア出身でネイガウスやリヒテルなどの元で研鑽を積んだ大家なのだとか。ボリス・ベレゾフスキーの先生だと言うのだから、結構すごい人みたい。細かいところの指周りが怪しかったり冒頭からちょっと心配だったのだけれど、まずまずの好演。テンポの変化がかなり目まぐるしく、オーケストラとの連動が上手くいっていない所もいくつかあったけれど、ラストで一気に巻いていく勝負感が楽しい。
R.シュトラウス:アルプス交響曲posted with amazlet on 06.11.26インバル(エリアフ) スイス・ロマンド管弦楽団 R.シュトラウス
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そしてメインの《アルプス交響曲》。R・シュトラウスの1911年の作品。これはもう後期ロマン派最大規模の作品と言っても良く、通常の二倍のオーケストラ(チューバ、ハープも二台ずつ!)、各種の特殊楽器、金管別働隊、さらにオルガンまで使用するというキチガイっぷりが圧巻で、演奏前から笑いが込み上げてきた。喩えるなら二個大隊+特殊兵器+グリーンベレー部隊にガンバスターがついてくるみたいな感じだろうか。そこには「近代性の結晶」としての音楽みたいな精神があって「オーケストラでアルプス登山を表現してやるぞ!オラッ!!」みたいな気概がとても良い。今、そういう「やる気」をみたら失笑するけど、当時はガチだった、っていうのが温度の差を感じさせ、その差が好きだ。バカみたいに扱ってるけど、生で聴くとマジで迫力とか音量とかがすごいから、機会が会ったら一度は体験してほしい作品だな、と思う。
インバルの演奏は「さすが外人……惜しみないな……」と思わせるパワフルなもので、とても良い演奏。各ソリストも気合充分で(特にコンサートマスター矢部達哉!)、日本のオケもやればできるじゃないか!と見直すぐらいに興奮させられる。この曲で使う特殊楽器もバカみたいに音量全開だし。特にウィンドマシーン(レバーをグルグルまわすと風が吹く音が出る)は、後半部分ずっとソロみたいな活躍ぶりで笑った。バカみたいなんだけど、そういう曲なんで良いのです。
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