ブライス=エチェニケ
集英社
売り上げランキング: 860,149
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正直、この作品も苦手な部類の小説だった。主人公のペドロは中年の「書けない作家」で、仕送りを受けながら、ファム・ファタールたる女を追っている。その最中に、いろいろな女性をひっかけていく。ブロンズ製の犬の銅像を鞄に大事に抱えながら、フランスやメキシコ、アメリカといった土地を遍歴していく。特段これ以外、筋らしい筋もなく、あんまり盛り上がりも感じさせないまま、作品は閉じられる。ジャズやロックや映画といったポップ・カルチャーがアメリカから流入し、小説にもそういう風俗が反映されているのだけれど、こういうのは「ラテンアメリカの文学」シリーズには珍しくないし、だからなんだ、という気がする(解説では、そう描写がさも大事なことのように書かれているけれど)。
最後の巻がこんな感想になってしまって、若干寂しさはあるが、このシリーズを読み切らないかぎり、ほかのラテンアメリカの小説には手を出さないゾ! と心に決めていたので無事完走したことを喜ぶことにしよう。「ラテンアメリカの文学」シリーズの感想へのリンクはこちらにまとめてあります。
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