矢作 俊彦
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戦後、ソ連とアメリカによって分割統治された結果、東京を首都とする共産主義国家の東日本、大阪を首都とする資本主義国家の西日本とに分裂した日本列島を舞台にし、諷刺と諧謔に満ちたまなざしによって歪められた文化の百科全書的小説である。乱暴な喩えを用いるならば、スティーヴ・エリクソンの『黒い時計の旅』と、トマス・ピンチョンの『V.』がハードボイルド悪魔合体して生まれた、日本のポストモダン文学の金字塔であろう。
作者自身は「ポストモダン文学なんかありがたがってるヤツは田舎モンだ!」と喝破し、そのアンチ=ポモ文学的態度からこの小説を創作していた、ハズである。インタヴューで読んだ記憶がある。しかし、ここまでやられてしまうと、もはやお手上げだ。間違いなく日本の職業的小説家のなかで、矢作俊彦は最強のスタイリストであり、彼に書けないものは存在しないのである。
それにしてもポモ文学をメタメタにけなしているわりに、2005年の『悲劇週間』(堀口大學が主人公。彼の文体を模倣して書かれたロマン小説)といい、この作品といい、ピンチョンっぽい部分がたくさんあることだなあ(詠嘆)。
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