スキップしてメイン コンテンツに移動

お台場がダンスホールになった日(渚音楽祭1日目)



 早割り料金が安すぎることで話題になっております(二日券が3000円)野外レイヴ・イベント、渚音楽祭・秋2006の一日目に行ってまいりました。場所はお台場。フジテレビ社屋のどまん前で東京テレポートの駅から会場入り口までの道を歩くと、ビルに音が反響しものすごい音模様となっておりまして思わず会場に入る前に景気づけで缶ビールを一気飲みしてしまいました。上がるテンション。


 実のところを言いますとあまりにチケットが安すぎる&場所が遠くないとユルすぎるシチュエーションのおかげで「あれ?明日渚だったっけ。忘れてた」ぐらいの緊張感の無さで、大幅に寝坊するなどして会場に着く頃には日も暮れ(本日のイベントは14時から)て、イベントも中盤を過ぎていました。OOIOOを見逃してしまったのが残念ですが以下観たバンド&DJをリストアップしておきます。




  • DOMINO

  • toe

  • REE.K & MASA

  • JUNO REACTOR


 おお、こうして名前を書き出してみると全然少ない!損したような気分ですが、むちゃくちゃに濃い内容でした。まず観ていたのはサイケの大御所(らしい。友人談)DOMINO。ガッツンガッツンにアガってしまうビートにやられ、ギャル男にまみれながらガン踊りしてました。しばらくすると誰かにポンポンと肩を叩かれ、振り向くと屈強な肉体を持つアニキ(全くの赤の他人)。何らかの液体がなみなみと注がれたコップを差し出され爆笑しながら「これ飲んでくれ!全然減らねーの!!」と言われました。なんだよ、このテンション、俺まださすがにそのテンションまであがりきってねーよ、と動揺しながらコップを受け取り「え、何、コレ?」とアニキに訊ねると、さらに爆笑しながら「ワイン!ワイン!!」とアニキ。うおー、多いな!それは爆笑するわ!!とありがたくワインをいただきました。友人からは「絶対なんか薬物的なものが入ってるって!」、「薬が効いてきたところでケツの穴掘られて海に捨てられるよ!!」と釘をさされましたが、何事もなくアニキはまた荷崩れしたジャガイモのような笑顔で去って言ったとさ。


 で、toe。日本のポスト・ロック(?)バンドで、友人からのオススメで観ました。CDで聴いた時は「ねぇ、これTortoiseとどう違うの?」と思わず友人に向かって聞き返してしまうピンと来なさ、「(音楽に)選ばれなさ」でしたが、生で観たら良かったです。すごいグルーヴ感である。緩やかに、自然に拍子感を移行していく感じがとても気持ちよかったです。ドラムが上手くて、もうなんか惚れそうになりました。上手いドラマーに出会うたび、その身体の動きが全てプレイに結びついているのを目にして「音楽と身体が溶けてしまっているのではないか」と思ってしまう。音はガツガツと硬めの音なのに、すごく柔らかいのね。あと、観客が静かで、全然踊ってる人なんかいなくて、ロックの人(と思われる)はマジメだなぁ、と思う。音楽の聴取態度は、パーティ・ピープルとロックの人では全く異質なものとして見えるので面白いです。思うに、ロックの人とジャズの人とは同じだけど、パーティ・ピープルは違う。前者が理性(ラチオ)、後者は模倣(ミメーシス)と分類できたりするんじゃなかろうか。


 REE.K & MASAはなんか途中からステージの前にいった形だったので、よく覚えていません。で、その後のJUNO REACTORがスゴかった。アフリカン、ケルト、スパニッシュなど世界中のトラディッショナル・ダンス・ミュージックをトランスの鍋にブチ込んで、ハードロックのエッセンスをふっかけたサウンドで思わずググッとステージの前の方へと導かれてもみくちゃにされながら踊ってしまいました。メンバーもなんかすごくコンセプトがある衣装でカッコ良いのね。最初、ボディペインティングを施したマオリ族みたいなオッサンが出てきた時は「ぬ!アート・アンサンブル・オブ・シカゴか!!」と思ってしまったけど。やばい。そして、ギタリストに何故かSUGIZO(最初誰かわかんなかった!)。もうなんかスパニッシュで躍らせちゃうわ、途中でヴァイオリンを持ち出すわで八面六臂の活躍。器用な人だなぁ、ヴァイオリン、勝井祐二より上手いじゃん……と思ってしまった。


 二日目はさらに知らない人ばかりが出てくるみたいなので、さらにユルユルな感じで臨みます(シュポングル絡みの人が出るのが楽しみなんだけど)。





コメント

このブログの人気の投稿

石野卓球・野田努 『テクノボン』

テクノボン posted with amazlet at 11.05.05 石野 卓球 野田 努 JICC出版局 売り上げランキング: 100028 Amazon.co.jp で詳細を見る 石野卓球と野田努による対談形式で編まれたテクノ史。石野卓球の名前を見た瞬間、「あ、ふざけた本ですか」と勘ぐったのだが意外や意外、これが大名著であって驚いた。部分的にはまるでギリシャ哲学の対話篇のごとき深さ。出版年は1993年とかなり古い本ではあるが未だに読む価値を感じる本だった。といっても私はクラブ・ミュージックに対してほとんど門外漢と言っても良い。それだけにテクノについて語られた時に、ゴッド・ファーザー的な存在としてカールハインツ・シュトックハウゼンや、クラフトワークが置かれるのに違和感を感じていた。シュトックハウゼンもクラフトワークも「テクノ」として紹介されて聴いた音楽とまるで違ったものだったから。 本書はこうした疑問にも応えてくれるものだし、また、テクノとテクノ・ポップの距離についても教えてくれる。そもそも、テクノという言葉が広く流通する以前からリアルタイムでこの音楽を聴いてきた2人の語りに魅力がある。テクノ史もやや複雑で、電子音楽の流れを組むものや、パンクやニューウェーヴといったムーヴメントのなかから生まれたもの、あるいはデトロイトのように特殊な社会状況から生まれたものもある。こうした複数の流れの見通しが立つのはリスナーとしてありがたい。 それに今日ではYoutubeという《サブテクスト》がある。『テクノボン』を片手に検索をかけていくと、どんどん世界が広がっていくのが楽しかった。なかでも衝撃的だったのはDAF。リエゾン・ダンジュルースが大好きな私であるから、これがハマるのは当然な気もするけれど、今すぐ中古盤屋とかに駆け込みたくなる衝動に駆られる音。私の耳は、最近の音楽にはまったくハマれない可哀想な耳になってしまったようなので、こうした方面に新たなステップを踏み出して行きたくなる。 あと、カール・クレイグって名前だけは聞いたことあったけど、超カッコ良い~、と思った。学生時代、ニューウェーヴ大好きなヤツは周りにいたけれど、こういうのを聴いている人はいなかった。そういう友人と出会ってたら、今とは随分聴いている音楽が違っただろうなぁ、というほどに、カール・クレイグの音は自分のツ...

2011年7月17日に開催されるクラブイベント「現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」のフライヤーができました

フライヤーは ナナタさん に依頼しました。来月、都内の現代音楽関連のイベントで配ったりすると思います。もらってあげてください。 イベント詳細「夜の現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」

リヒテル――間違いだらけの天才

 スヴャトスラフ・リヒテルは不思議なピアニストだ。初めて彼のピアノを友達の家で聴いたとき、スタインウェイの頑丈なピアノですらもブッ壊してしまうんじゃないかと心配になるぐらい強烈なタッチとメトロノームの数字を間違えてしまったような速いテンポで曲を弾ききってしまう演奏に「荒野を時速150キロメートルで疾走するブルドーザーみたいだな」と率直な感想を持った。そういう暴力的とさえ言える面があるかと思えば、深呼吸するみたいに音と音の間をたっぷりとり、深く瞑想的な世界を作りあげるときもある。そのときのリヒテルの演奏には、ピンと張り詰めた緊張感があり、なんとなくスピーカーの前で正座したくなるような感覚におそわれる。  「荒々しさと静謐さがパラノイアックに共存している」とでも言うんだろうか。彼が弾くブラームスの《インテルメッツォ》も「間奏曲」というには速すぎるテンポで弾いているけれど、雑さが一切ない不思議な演奏。テンポは速いのに緊張感があるせいかとても長く感じられ、時間感覚をねじまげられてしまったみたいに思えてくる。かなり「個性的」な演奏。でも「ああ、こんな風に演奏しても良いのか……」と説得されてしまう。リヒテルの強烈な個性の前に、他のピアニストの印象なんて吹き飛んでしまいそうになる。  気がついたら好きなピアニストの一番にリヒテルあげるようになってしまっていた。個性的な人に惹かれてしまう。こういうのは健康的な趣味だと思うけど、自分でピアノを弾いている人の前で「リヒテル好きなんだよね」というと「あーあ、なるほどね」と妙に納得されるような、変な顔をされることがあるので注意。 スクリャービン&プロコフィエフ posted with amazlet on 06.09.13 リヒテル(スビャトスラフ) スクリャービン プロコフィエフ ユニバーサルクラシック (1994/05/25) 売り上げランキング: 5,192 Amazon.co.jp で詳細を見る  リヒテルという人は、ピアニストとしてだけ語るには勿体無いぐらいおかしな逸話にまみれている。ピアノ演奏もさることながら、人間としても「分裂的」っていうか、ほとんど病気みたいな人なのだ(それが天才の証なのかもしれないけれど)。「ピアノを弾くとき以外はロブスターの模型をかたときも手放さない」だとか「飛行機が嫌いすぎて、ロシア全...