ロンドンで飲んだビールのことを書こうと思って、ずいぶん時間が経ってしまった。今年の9月、イギリスに向かって成田を発とうとしていたその日は、台風かなにかのおかげで飛行機の離陸が遅れていた。ヒースロー空港からホテルに着いた頃にはもうすっかり日が暮れていて、ホテルの近くにあったパブに入るぐらいしかできなかった。これは、ロンドン最初の夜に飲んだビール、それからシードルの写真だ。
Lambというこのお店はすごく伝統的なイングリッシュ・パブで、ホームページにも「テレビもねえ、音楽もねえ、あるのは生き生きした会話だけ」とまるで吉幾三みたいなことが書いてある。地元の人と観光客が半分ぐらいずつ集まっていて、とても雰囲気が良かった。店の人は多少英語が不自由でも親切にしてくれる。
つまみに頼んだのは、ソーセージとポテトのセット。味付けは生粋のロンドン野郎的にはモルト・ビネガー(その名の通り、麦芽で作った酢)一択なのかもしれないが、その味は「嫌いじゃないけど、遠慮するわ」という感じだった。ソーセージにはハニー・マスタードが一番美味しく、ポテトはやっぱりケチャップが好きである。
19世紀末にドイツで製作されたオルゴールが設置されていて、店の人に声をかけるとちゃんと演奏してくれた。この日は、2パイントぐらい飲んだと思う。だいたいどのパブにもエールが4、5種類、ラガーが2、3種類、シードルが2種類とか用意されているので、一晩で制覇するなんか不可能である。そして、いろいろ飲んだ結果「エールはヌルいから、俺には合わない!」というのが理解できたロンドン旅行であった。まあ、雰囲気は楽しいが、ビールを飲むなら、日本のHubのほうが旨い。冷たいから。
そう、冷たいビールが飲みたかったら、瓶入りのラガーを頼めば間違いない。これはケンブリッジにあるティー・ルームで、アフタヌーン・ティーを食べながらビールを飲んでいたときの写真。「冷たくて、旨いなあ」と思いながら飲んだ。
やはりロンドンといえばフィッシュ&チップスであろうけれど、初日に超保守的なパブにて「ちゃんと店でイモを処理してますぜ、冷凍じゃないですぜ」的な顔をしたポテトに出会ってしまった俺には、この後出会うすべてのイモが霞んで見えた。
このフィッシュ&チップスは、大英博物館の近くのPloughというお店。観光地価格って感じで適正な感じの値段には思えなかったが、テレビがあってサッカーも観れるということで、この日はアーセナルのユニフォームを着たおじさんが試合の始まる2時間ぐらい前からずっとビールを飲んでいた。
ところでイギリスではお店やホテルのなかが全面禁煙、路上は歩きタバコもOKというヨーロッパ・ルールの喫煙マナーが敷かれている。普通にタバコを吸っているだけでも、新手のスタンド使い登場、みたいな写真になってしまうから注意が必要だ。
しかし、なにもロンドンだからといって、パブに行ってビールを飲むばかりが楽しみではないだろう。日本でいうと新宿伊勢丹みたいな百貨店、ハロッズの食品コーナーには、さっと立ち寄れて、さっと帰れるオイスター・バーもある。この店のメニューには「日本の熊本のデリシャスな牡蠣もあるよ!」という書いてあり、なんでロンドンで熊本の牡蠣を食ってるんだ、という気持ちになったが。
ロンドン最後の晩は、Potersというイギリス料理レストランで食事をした。写真は、そのとき頼んだわたしが頼んだステーキ。美味しそうに見えるが、ソースがクセものだった。モルト・ビネガー仕立てで、なんか結構辛いのが入っている。大量のマッシュポテトがまた美味しくない。
旅行中は「イギリスは飯がマズいって言うけれど、そうでもないよね〜。好みの問題じゃん?」と思っていたが、帰国してから2週間ぐらい経って「思い返したら、やっぱりイギリスのご飯は美味しくなかったね」と夫婦で意見が合致した。「これはマズい!」という極端なものには出会わなかったのだが、ずっとパ・リーグのBクラス球団の下位打線にいる選手だけでラインナップが組まれている、みたいな、そういう感じなのだ。
唯一、最初に行ったLambは、また行きたいな、と思ったけれど、これだって「最初に行ったから良い思い出になっているだけ」かもしれない。あ、でも、スーパーで売っているフルーツやお惣菜とかは妙に美味しかったな(お財布にも優しかった)。
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