解説を読むまで知らなかったのだが、この『茶の本』の著者、岡倉覚三さんというのは岡倉天心なのだそうな。本自体が有名らしいのだけれど、全然知らなかったよ。フェロノサとなんかやった人、ということしか覚えていない。
内容はお茶の歴史と茶道と東洋思想についての記述。だが、冒頭から岡倉さんは怒っている。何に対して?――西洋に対して。「いつまでも俺たちはチョンマゲゆってるんじゃねーんだよ」とキレてるのである。で、ちゃんと東洋のことを知ってくださいね、とこの本を書くにいたったわけである。まぁ、なんか暇だったから読んでみたのだが、なかなか読みごたえがあった。最近、友人と「熱いよな」と話しているのが「ニッチな歴史」なので普通に唐・宋・明の中国王朝における茶の飲み方の変遷とかに燃える。
しかし東洋思想と言いながら、考え方はものすごく西洋哲学の影響があるよなぁと感じた。例えば「茶室」の内装のシンプルさについて「(無駄なものをおかないことによって)美しいものに対して集中的な鑑賞法をすることができる。そこからしか真の理解は生まれない」というようなことを言っている。これって全くヘーゲルじゃなかろーか。イデーを汲み取ること。純粋観照。
「茶人になりたい」と思ってしまった。ちなみにゴンチチのチチ松村は自称「茶人」だそうだ。なのに、休日の趣味はママチャリに乗って近所の粗大ゴミ置き場から「捨てられたギター」を拾ってくることで、その点を故・中島らもが「そんな茶人がいるかい!」とツッコんでいた。
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