Explorationsposted with amazlet on 06.07.19Bill Evans Trio
Riverside/OJC (1991/07/01)
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移動中に聴いている音楽がファンクだのジャンクだの現代音楽だのばかりだと少し疲れるてしまう。箸休め的に聴いたときのビル・エヴァンス・トリオの演奏はそれはもうびっくりするぐらい綺麗で「やっべ、涙出ちゃうよ」なんて。考えてみれば50年以上前に録音されたものなのに、瑞々しく感じられることってすげーよなぁ。
私以外にも「癒されること」を目的として、ビル・エヴァンスのアルバムを聴くという人は多い、と思う。普段は「癒しなんか、クソ喰らえだ」とのたまっているけれども、なんだかんだ言って「良いねぇ…落ち着くねぇ…」と息を漏らしてしまう。首尾一貫しないのに「癒し嫌い」なのは、音楽の《意図》が「癒し」ではないだろう、なんて思うからだ。言っていることが自分でもよくわからないんだけれど「ビル・エヴァンスは聴衆を癒すためにピアノを弾いたわけではない」という風に考えたとき、そこで「癒されてしまう」というのは、音楽に対して真摯な態度とは言えないんじゃないか、とか思うからである。まぁ、「癒してやるぜー」なんて風に作られた音楽なんて聴きたいと思わないけど。
まぁ、しかし実際的に言って、この音楽は「癒される」――しかし、何故癒されるのか!?
この前とある人に、自然界には「1/fゆらぎ」というリズムがあることを教えてもらったんだけど、この「1/fゆらぎ」があると人間はどうやらリラックスしてしまうらしい。小川のせせらぎとか波の音とかにそのリズムが含まれているんだそうな。波の音、小川のせせらぎ。たしかにそれらは聴いていると落ち着く。
で、この前ハッとしたんだよね(東武東上線の車内で)。「ポール・モチアンのドラムは『1/fゆらぎ』なんじゃないか!?」と。そう思ってしまったのは、ビル・エヴァンス・トリオでモチアンが多用するブラシと波の音にかなりの類似性がある気がしたから。特に『Waltz For Debby』の一曲目、「My Foolish Heart」のゆっくりとしたビートがさ(ほとんどノン・ビートに近いんだけれど)。「ビル・エヴァンスが癒しと繋がってるんじゃなくて、大切なのはポール・モチアンだった!」、全くの仮説なんだけどそれが言いたくて長々とエントリーを書いてみた。
1/fゆらぎについて卒論書いたよ・・・!
返信削除わたしが研究したのはクラシックだったけど、名曲といわれるものは大抵1/fゆらぎを示すようです。「前衛的な現代曲」みたいのはダメだけど。
1/fゆらぎを示す、ってどうやって調べるのでしょうか。そこんとこ気になる。
返信削除4年生の研究室配属のときに武者先生のとこに入り損ねた私が来ましたよ。入っていたら卒論で「高速道路の車の流れのリズムが1/f揺らぎに従うかどうか東名高速の車を一晩中数えて検証する」なんてことをやってたでしょうきっと。
返信削除工学的に言うと、ゆらぎには、音の大きさのゆらぎ、音の高さのゆらぎ、音の速さ(リズム)のゆらぎなどがあります。しかし武者先生は乱暴にもこれらを全部いっしょくたにして、とにかく音の波形をフーリエ変換公式にぶちこんで周波数スペクトルごとの成分に分ける、という方法で 1/f かどうかを判定することにしたそうです。すごい割り切り。でもそのお蔭でいろんなものが 1/f 分布に従ってることがわかったと。例えば音の高さだけに着目してモーツァルトの楽譜をそのままフーリエ変換しても、1/f 分布にはなってないそうな。でも実際の音をフーリエ変換すると、楽器の音色/ビブラート/大きさの変化 etc. が合わさって、1/f 分布になるらしい。現代音楽とか電子楽器とかが 1/f 分布にならないことは結構知られてますが、逆にガムランなんかは人間の可聴周波数より遥か上の超音波領域まで 1/f 分布してるらしい。犬が聞いても癒されるぜきっと。
ご教授ありがとうございました。おもしれーね。ちょっと勉強してみたくなった(教科書とかあるのかな)。昨日友達が遊びに来て、一緒にエチオピアの教会音楽を聴いていたのだけれど、結構リズムがぶれつつも、自然にテンポが上がってかなりトランス状態っぽくなる様子があって、こういうのにも「1/fゆらぎ」が存在するのかなぁ、と思ったりした。
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