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パリへ #3



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パリ旅行記、3日目の。『pen』のパリ特集の写真などを眺め、早くも懐かしい気持ちになっているが実質はまだひと月も経っていない。おそらく私が見た風景や、感じた匂いなど、文章からはどうやっても伝わらないであろう、それがたとえ記憶が新鮮なうちであっても。しかし、急がねばならない。写真は朝、テレビをつけたらいきなりものすごいスピリチュアルな番組がやっている、その様子。おそらくはフランスの寂聴的な存在なのであろう。







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この日の朝食はホテルの近くのカフェでとってみた。私はハムとチーズが入ったオムレツ(7ユーロ)、妻はクロックムッシュ(ーと伸ばすのが正しい模様。6ユーロ)。それにコーヒーが1.9ユーロ、ショコラショーが3.2ユーロ。郊外になると途端に飲食費が安くなる。4割ぐらい違う。





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この日は朝からヴェルサイユ宮殿にいく予定だった。メトロではなく埼玉高速鉄道みたいな電車に乗らなくてはならないのだが、切符の買い方がよくわからず駅でちょっと困った。メトロはどこから乗ってどこで降りても料金が変わらない。けれども、このフランス版埼玉高速鉄道はちゃんと行き先を指定してあげなくてはならない。券売機は画面遷移が結構多くて「こういう画面の出し方は日本の券売機のほうが優れてるな~」と思った。カードで切符を買えるのは嬉しいのだが、紙幣は使えない、など「えっ」と思うことは多い。





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朕は国家なりィィィ!!! の人がお出迎えしてくれる。





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ほとんど朝イチなのにすぐに入場の行列ができてしまう。ミュージアムパスが使えるのでチケットは買わなくて済んだけれど、チケットを買う行列もできていたのでパスがないとなかなか大変。





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入場してすぐのところ。天気が良かったのでゴージャス感が映える、が、このへんだけみると「こんな建物、有楽町あたりにあるんじゃね?」とか「あれ? 赤レンガ倉庫?」と思わなくもない。そもそも行く前からヴェルサイユ宮殿のイメージができていなかったので、どこがファサードだったのかもよくわからず。





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人気ゾーンはとにかく混んでいて大変。そして想像していたより広くて大変。庭園内に入るにはミュージアムパスが使えず、別途チケットが要。マリー・アントワネット(キルステン・ダンスト)が百姓ごっこをしていた離宮などもあるのだが、1.2kmほど歩かないといけない、という罰ゲームじみ感じなので行ってません。っつーか地平線が見える庭ってなんですか。





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昼食にガレットを。具によって値段が違うのだが自分が何を頼んだか覚えてない。妻はヤギのチーズを使ったやつだった。初めて食べたのだがすっごいクセの強いガイジン、みたいな味でびっくりした。あんな顔してこんなごっついものを出すのか、ヤギは、と思った。観光地なので市街地と同じような物価。





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その後、パリ市街地へと戻り、軍事博物館へ。中世の武具などが展示されている、と聞いていたのだが、入った入り口を間違えて、近代戦コーナーから入場してしまう。これがもう戦勝国感丸だし、愛国丸だし、日独伊三国同盟ぶっ潰す(ぶっ潰した!)感丸だし、でも戦争の色んなものが生々しすぎてテンションを高めていいのか低めるべきなのかよくわからない、少なくとも日本人はここに行ったらダウナーになるしかないトラウマ施設であり、兵器の工業デザイン的な美しさには惚れ惚れしてしまうのだが、銃痕つきのヘルメットなどを目撃してしまった暁には「この施設、はやく出たい(というか、どうしてこんなところに……)」という思いに駆られまくり、自然と歩みも早まるのだが、これもまた広くてですね……やっと終わった……! と思ったら、まだ第二次世界大戦前半コーナー終了で、まだ戦争は終わってない、っていうか、ノルマンディ上陸作戦以降のコーナーがはじまったりしてねえ……。ハードコア・ミリオタにしかおすすめできないよっ!





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しかし、ピンチョン読者的にはこのV2ロケットの展示には激アガる他ないです。『重力の虹』!





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その後、オルセー美術館にいくも入館時間に間に合わず。この前にナポレオンの墓も見たのだが、デカい、というだけで終わる。ギャグのように巨大な棺は人間じゃなく、なにかモンスター的なものが封じられているのでは、と錯覚する。





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ポンピドゥー・センターへと移動した(結構遅くまでやっている)。この近くに行ってみたいレストランがあったのだ、が、移動した瞬間に「あれ、ガイドブックに今日休みって書いてある……」ということに気づいた。このあたりにIRCAMがあるはずなのだが見忘れていた。ポンピドゥー・センターもとにかくなかが広く、現代美術は割と好物ではあるのだが体力的に途中でキツくなって20世紀前半の美術コーナーはかなり流してみてしまったのが心残り。





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(例によって他人の写真だが)アンドレ・ブルトンの民族学コレクションが圧巻。彼の部屋を再現した展示だそうで、すごく異形の箱庭的宇宙感があって素晴らしかった。これに正対するのがジョゼフ・コーネルの箱、というセッティングもすごく良い。





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気づくと夜。今日はちゃんとフランス料理! みたいなのが食べたいね~、という話をしていたのだが、ポンピドゥー・センター周辺にはカフェ・レストランみたいカジュアルなお店しかなかった。仕方なく歩いていて一番人が多く席についているお店で夕食。ポンピドゥー・センター裏の普通のカフェ・レストランなので、今思えば、美味しくて評判、というわけではなくポンピドゥー・センターから出てきた観光客が流れてきやすいだけだったかもしれない。このお店で初めて黒人のギャルソンをみた。サラダ(巨大)、エスカルゴ(ハサミのような謎の器具の使い方がよくわからず)、タルタル・ステーキ、カモのローストなどをいただく。この日まで私はタルタル・ステーキのことを「通常のステーキにタルタル・ソースをかけたもの」だと思い込んでおり、運ばれてきたユッケのようなものを見て「えっ、タルタル・ソースはどこに!?」と驚いてしまった。





こうして3日目は終わった。続きはまた今度。





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